哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ジャン=ジャック・ルソーについて その3

 前回の記事でルソーの生涯に多大な影響を与え、また彼が恋をしたヴァランス夫人ですが、直ぐに2人が一緒に暮らす事はありませんでした。まず、ヴァランス夫人はルソーにカトリック教徒になるように、とトリノの救護院に行くように手配します。そして、形ばかりの改宗後は色んな職に就きますが、ここで彼の素行の悪さと虚言癖が原因で信用されることなく、落ち着ける所を見つけられませんでした。そんな時に親しくなったジャン=クロード・ゲームという年上の助任司祭からは温かい援助を受けられたのです、援助と言ってもルソーが仕事で失敗する度に生き方を改める様にと、助言をくれたのです。こうした励ましを、ルソーは後に自分が道を踏み外しそうな時に救ってくれた事で、恩恵を与えてくれた、と回想しているそうです。この経験が核になっているのは、彼の著作「エミール」第4巻の「サヴォア人司祭の信仰告白」の思想だそうです。
 そして、更に職を転々とした後に、ヴァランス夫人の元へ戻り、夫人はルソーを引き取りました。ようやく帰れる場所を得られたルソーに、夫人は母の様に接して、将来の事を考え、幾つかの教育機関に入れますが、長続きしなかったそうです。そんな夫人ですが、ルソーが不在の際にパリに行って、戻って来なかったそうです。また孤独になったルソーは、父の元へ帰る事になりますが、一緒に暮らす事はありませんでした。そして、また放浪生活に戻ったのです。

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