哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ヴォルテール/フランソワ=マリー・アルエについて その5

 さて、同時代を生きた哲学者ルソーと最初は良好ながら最後は決別してしまったヴォルテールですが、今回から彼の思想について触れていきます。そもそも、ヴォルテールが後世まで名を残したのは、彼が「啓蒙思想」の典型を唱えたからです。彼が当時のイギリスの自由な風潮に刺激を受けたのは、当時のフランスは階級社会であり、支配する側とされる側が居て、それが覆る事はない、というのが当たり前の事だったのです。特に力を持っていたのは教会で、人間の理性を信頼して、自由を信じていたヴォルテールの活動の中でも有名なのが、当時の腐敗した教会、キリスト教に対する批判です。彼は人生の大半といっていい時間と精力を注ぎ、理神論の立場から教会を批判したそうです。
 99巻に及ぶ著書において、ヴォルテールは他の哲学者にない斬新な発想を述べるという点により、既存の哲学者の思想を概括的かつ巧みな表現で、効果的に述べたことによって哲学史における名誉ある地位を与えられたのです。ヴォルテールは主著である「哲学書簡」の中で、当時近代市民社会を確立していた進歩的な思想、文化、風習を紹介して当時のフランスやフランスの政治体制が遅れているかを痛烈に批判したのです。

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