哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

シャルル・ド・モンテスキューについて その2

 さて、20年という長い時間をかけて「法の精神」というモンテスキューを代表する著書ですが、最初は彼の名前は伏せて出版されました。モンテスキューは59歳となっており、出版された地はジュネーブでした、その著書は賞賛の手紙を数多くもらう程に評判が良かったのですが、法王庁の「禁書目録」に載せられてしまいました。「禁書目録」とは16世紀から20世紀の半ばまでカトリック教会で作成された書物の目録で、簡単に書くとカトリックの教えや信徒に良くない影響を及ぼす、と判定された書物のリストです。なぜなら、当時のフランスは絶対王政だったのです、当時のイギリスの政治制度を模範に、立憲主義、権力分立、奴隷制廃止、市民的自由の保持、法の規範など絶対王政に批判的な意見を説いた内容だったからです。当時の権力を維持したいカトリック教会にすれば、これらは市民が教会側と同じような権力や自由を持つきっかけになる、と判断したのでしょう。
 故に、モンテスキューの「法の精神」はカトリックの教えに背く、あるいは信徒に良くない影響を及ぼす書物として、禁書目録に載せられたのでしょう。そんなモンテスキューですが、最後はパリで流行した性感冒に感染し、66歳で世を去る、という最後を迎えました。

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