哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

バールーフ・スピノザについて その5

 本日で最後となるスピノザは人間の感情を欲望、喜び、悲しみの三種類から構成されていると考えて、この感情を制御する事が出来ない無力こそが人間の屈従の原因であり、理性の指導に従うことで自由人となる事が出来ると論じているのです。その一方で、自然と神とは同一のものであり、人間はその一部として存在すると考えた彼は「神である自然の無限性を分かち持つ我々人間が、より深く理性的に知ることが論理の道である」、さらに「“愛”とは理性的に知ることなのだ」とも考えたのです。 ですが、この「一切のものは神に通じ、その神性を分かち持っている」という彼の主張は、神を強調し過ぎて、今も三大宗教の1つに数えられる「キリスト教」の影響を強く受ける当時のヨーロッパでは、スピノザの本意ではない“無神論”として痛烈な批判を受ける事になってしまいました。スピノザの本意は、あくまでも実体のうちに精神や物体といったものは神の神性のうちの二つでしかなく、その実体は神のみにあると提唱し、無限たる神から有限である万物が生まれる、と説いたのです。

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