22 02 2018
バールーフ・スピノザについて その4
万物、全てには原因があり、その万物は神が備えた無限の属性の状態の一種。そう提唱したスピノザは自身の定理をデカルトより更に厳密な数学的手法で提唱し、それ自身がそれ自身によってのみ理解される完璧な存在「実体」を提唱し、実体こそが「神」である、という結論に到達しました。また「自然こそが神であり、無限であるとし、ほかの部分としてのあらゆる存在は有限であり、それをどれほど積み重ねてみても無限には到達することはないから悲観することはない」と結論づけ、それ故に存在物は自然の無限性、神の本性を分かち持っているはずだと考え、そこに「人間の倫理(エチカ)」を見出したのです。
この様に神と自然、または神と宇宙は同一だとみなす哲学的・宗教的な立場は「汎神論(はんしんろん)」と言い、スピノザは人間が元から自然である事を否定して、この「汎神論」の元での決定論を主張したそうです。例えば、人が幸せだと思う場合、スピノザの思想では神から派生する無限の属性の中から「幸福」の認識を寄与する要素を抽出する為に人間の身体と精神について考える必要があり、感覚的経験に基づいた認識は妥当ではない、という事になるのです。
バールーフ・スピノザについて その3 バールーフ・スピノザについて その5