哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

バールーフ・スピノザについて その3

 さて、前回まではスピノザの生涯を紹介しました、そして今回からは彼の哲学について紹介していきます。そんなスピノザの代表的な著作が「エチカ」です、全5部で構成され、形而上学、心理学、認識論、感情論、倫理学に触れる内容が書かれていますが、中心となっているのは「倫理」です。まず、本書は「無世界論」として絶対者が実体としてばかりではなく、主体としては弁証論的に把握されなければならないとして、ヘーゲルの時代で漸く正当な評価がされ始めたのです。そして、内容としては人間の自由に関して「神に対する知性的愛」という一種の神秘的直観が整合的に導出されており、その体系的精神を以って、スピノザは「われわれの自由は投げられた石の自由に過ぎない」と表現したそうです。
 万物には原因があり、また、それ以上探求することが出来ない究極的な現在が存在する。この究極的な原因が自己原因と定義され、これは実体、神、自然と等しいとスピノザは考えたのです。そして、「神に対する知性的愛」とは、神は無限の属性を備えており、万物は神が備える無限の属性の様態の一種という考え方だそうです。

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