哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

デイヴィッド・ヒュームについて その5

 本日で最後となるヒュームですが、彼は「因果法則も知覚の習慣に過ぎない」と述べて、知識の構築について追及して、その原因を「想像力」に求めました。そして、想像の元に生まれる「連合」に注目して、この「連合」が反復する事によって様々な知識が形成されていくと考えたのです。そんなヒュームの「想像」とは主に「類似」、「接近」、「因果」という三つの原理に分けられ、観念を比較する原理としては「類似」の他に「量」、「質」、「反対」、「同一性」、「時空」、「因果」の七つを想定したそうです。そこから、ヒュームは、この「連合」があるからこそ、世の中の様々な事実に因果関係があると考え、二つの事象が一定の期間で連続して発生すると、それが習慣的な経験となり「因果関係」になると唱えたのです。
 こういった因果律から語られる自分が自分であると考える「自己同一性の観念」をはじめとしたヒュームの思想は「ヒュームについて その3」でも書きましたが、哲学者カントに多大な影響を与え、カントの批判哲学が形成される土台になったそうです。

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