哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

デイヴィッド・ヒュームについて その3

 若い頃はストレスや精神的な病で苦労したヒュームですが、彼の哲学者としての「思想」は生前から評価されており、その中でもブログで紹介したジョージ・バークリーの唱えた「観念論」と「現実主義」を受け継ぎ、それを更に発展させたのがヒュームです。彼は「自我」という自分を認識する事も「感覚の束」であると主張し、実在性を否定したそうです。そして、ジョン・ロックなどが唱えた「経験論」を徹底した上で「知覚されたものの外に客観的な世界は存在しない」と説いて、原因と結果の結びつきである「因果法則」も「人の習慣的法則から生じる一種の信念である」と否定そうです。
 生前のヒュームは懐疑主義を主張して、それまでの哲学が当然と思っていた「知の成立過程の源泉」を問い、無条件で信頼されていた「因果律」を論理的なものではなく、連想の産物であると見なして、当時は無神論者として批判されていたそうです。ですが、このヒュームの提唱した「因果法則の否定」は、哲学者カントに多大な影響を与えたのです。

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