哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ジョン・ロックについて その6

 本日で最後となるジョン・ロックは独自の解釈で、それまで誰も疑わなかった「認識」に対して異を唱えたロックですが、他にも彼は物体の性質についても触れています。曰く、物体の性質は外物に由来する客観的な個性・延長性・形状等を持つ「第一性質」、色味香などの主観的な「第二性質」に区分けして、人に知られるのは後者のみだと主張します。ですが、ロックはそれすら完全に知る事は出来ないとも主張したのです。つまり、人間という存在が経験を積んで、更に実験を重ねて得る外的事物の観念を得る以上は、既に知りえた事の性質はそれによって分かった範囲しか分からず、本来的にいくつの性質がそのものに属しているかは正確に知る事は出来ず、また全ての性質を知る事もできないと考えたのです。
 これは経験主義と呼ばれ、その代表的な人物の一人にロックも含まれています、彼は人が経験する事は全て「観念」の供給源でしかないと考えており、彼の哲学における「経験」の役割は限定的だったとされています。それでも、彼の哲学は哲学に限らず、後世に様々な影響を与えたのです。

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