哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパについて その4

 本日で最後となるアグリッパですが、主な著作「隠秘哲学について」で書かれた「自然魔術」については、彼より先に論じた人物が居ます。それが「自然魔術」では中世における魔術師と錬金術師、また近代の科学者の中間の存在と評されている「ジャンバッティスタ・デッラ・ポルタ」と、アグリッパより先の時代に生まれ、このブログでも紹介した「プラトニック・ラブ」という概念を生み出した哲学者マルシリオ・フィチーノと同じ様な、けれど少し違う主張をしています。大きな違いを挙げるなら、前者の2人は概念的な主張ですが、アグリッパの著作では、先に書いた「自然魔術」、「数学的魔術」、「儀式的魔術」が更に実践的で明確に記されているそうです。
 「数学的魔術」では1から9までの各数を論じた章などがあり、「儀式的魔術」では本格的にカバラ魔術について語られているそうです、これにより「隠秘哲学について」はキリスト教カバラから魔術カバラへと発展させた神秘的秘術の象徴的な著書とされているのです。

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