哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパについて その3

 さて、当時は何かと問題視されていたアグリッパですが、彼の思想と似た様な研究はパラケルススやロイヒリンがしていましたが、彼は「魔術」を単なる迷信や思い込みで捉えるのではなく、それをユダヤ教の伝統に基づいた神秘主義思想であるカバラ等の論理的な側面から見て、前の記事にも書きましたが「論理的に魔術を学問として分類」したのです。これは後世において、オカルト的哲学と考えられるアグリッパの持つ独特の思想は、世界を統一的に捉え、合法則的とみる点で「近代合理主義」という側面を持ちながら、神秘的な精神と見なす風潮を有しているのです。
 この様なアグリッパの思想哲学を体系化したものが、彼の主な著作「隠秘哲学について」です、3部構成の著書は第1章の「自然魔術」から始まり、「数学的魔術」や「儀式的魔術」を論じたものです。因みに、数学と魔術は一見すると繋がりが無いように思うでしょうが、特定の数字が特別な意味を持つのは神秘主義では珍しくなく、また儀式的魔術、儀式魔術はルネサンス期では霊と交信する降霊術の類を指していたそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください