哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパについて その2

 さて、アグリッパを「哲学者」として紹介するなら、絶対に外せないのが旋回の記事で少し触れた「オカルト哲学」、彼の主な著作とされる三部作の「隠秘哲学について」は神秘的秘術の象徴とも言われているそうです。彼の思想が「賢者の石」を作った、という伝説を持つパラケルススに通じる部分がある事も少し触れましたが、影響を受けたのはルネサンスのヒューマニズムだと言われています。彼の思想の特徴な所は「神秘的秘術によって自然に干渉する事ができる」という点です。接神論的、秘術的思想という点では魔術師的な研究面を持っていたパラケルススやドイツの人文主義者で新プラトン主義の代表者で、カバラ、いわゆるユダヤ教の伝統に基づいた創造、終末、救世主論を合わせ持った神秘主義の研究の先駆者とされるヨハネス・ロイヒリンの考え方に近いとそうです。
 こう書くと独自の思想で神について懐疑的だった様に思うでしょうが、現存する資料では彼は忠実なカトリック教徒でした、しかし、その多才な博学と秘術に対する関心や、当時は容認されていた魔女狩りに異を唱えた等の理由で、常に教会とは揉め事を起こしていたそうです。

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