哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

パラケルススについて その3

 さて、逸話や伝説などが多く、如何なる人物か謎のパラケルススですが、彼の「哲学者」を挙げるなら外せないのは前回の最後に少し触れた「四大元素」と「アラビアの三原質」です。まず、パラケルススの主な思想としては、全宇宙を一つの生きた全体と考える事で、秘術による自然の把捉を説いたのです。その根底には「マクロコスモス(大宇宙)」と「ミクロコスモス(小宇宙たる人間)」の比較の対応という世界観がありました。神から自然が生み出されたというパラケルススの思想には、万物は万物なる「一者」から流出したという新プラトン主義に通じる側面もありました。そこから、神においてある第1質料という大神秘から硫黄、水銀、塩の3つの元素が働いて展開する事で地、水、火、空気の四つの元素、四大元素が生まれて、そこから全てが生み出されたと考えたのです。
 そして、彼の唱えた「マクロコスモス」としては地上世界、天上世界(星の世界)、霊的世界の3つが考えられるとして、それに対応する様に「ミクロコスモス」である人間を体、精気、魂に分けて考えていたのです。

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