哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

プロティノスについて その3

 今回で最後となるプロティノス、彼が提唱した「流出説」の続きですが、彼の考える世界とは「一者」と「ヌース」と「魂」の3つが叡智的世界であり、自然が感性的世界を構成していると考えたのです。更に、彼は人間にとって救いは「魂」の形を変容させることであり、そうする事によって神に近付く事が出来ると主張したのです。つまり、人間は魂と肉体という特殊な総合物であり、感性的世界にある物質的な器たる肉体から魂を解き放ち、叡智的世界にあたる「節制」や「徳」にあたる行動を実践することで、最終的には絶対の存在である「一者」つまり「神」に近付く事が出来ると考えたのです。
 プロティノスの思想は、様々な思想家や哲学者を通して、グノーシス主義思想や中世のキリスト教神学など西洋思想全体に大きな影響を与え続けていく事になります。因みに、この「グノーシス主義」とは、約1世紀に生まれ、3世紀から4世紀に渡って地中海世界に広まった古代の宗教・思想の一つで、自己の本質と真の神ついての認識に到達する、という目的の思想傾向です。

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