哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

プロティノスについて その2

 さて、前回から紹介している哲学者プロティノスですが、彼は世を去る際に「我々の内なる神的なものを、万有の内の神的なものへ帰すように、今私は努めているのだ」という内容を口にしたそうです。これも彼の唱える流出説であり、彼はプラトンの「イデア論」を受け継ぎながら、その二元論を克服しようとしたのです。そこで哲学における主な実在を「一者」と書いて「一なるもの」と定義しました。そして、「一者」を「神」として扱い、この唯一絶対なる実在が自ら光を発することで、アナクサゴラスが提唱した、原初の世界に秩序をもたらし生成を促すきっかけとして作用する力、ヌース(理性)が生み出され、そのヌースが「魂」を生じさせ、魂から「自然」という物質的な「質料」が流出する、とプロティノスは万物の生成を段階的な下降の過程に分けて説いたのです。
 長くなりましたが、この誕生までの一連の流れを彼は「流出説」として、世界の成り立ちから、人の持つ悪質が高くなる可能性も唱えたのです。

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