哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

マルシリオ・フィチーノについて その5

 本日で最後となるフィチーノですが、彼は「理性」と「知性」を持つことにより、人間は「理性」で地上で正しい行いを行う事ができ、そして「知性」で追い求める真理と一つになる事が可能だ、という独自の思想を唱えました。そんな彼ですが、実は神話を「天上の力」の表現として尊び、そこに占星術的寓意的解釈に努めました。「占星術的寓意的解釈」とは、物凄く分かりやすく書くと、神話の登場人物を自分の哲学の解釈に当てはめる事で、例えばヴェヌス、日本では「ヴィーナス」で知られる神を人間性そのもの、またはギリシャ神話に登場するヘルメスを最初またはゾロアスターに次ぐ第二の哲学者にして神学者、ローマ神話に登場する農耕神サートゥルヌスを人を知的探究に没頭させる存在として彼の宇宙論の主要な霊魂に位置付けたのです。
 更に「ヘルメス文書」の翻訳や、実践的な占星術の研究もしていたそうで、著作「三重の生について」では、惑星の力によって健康を得られると示したそうです。もちろん、これはキリスト教の立場から見れば「異端」とも言える思想でしたが、フィチーノ自身はプラトン哲学と同じくキリスト教と同じくするモノと考えていたそうです。

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