哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

マルシリオ・フィチーノについて その3

 当時の権力者であるメディチ家の保護を受け、後の哲学者達にも多大な影響を与えたフィチーノですが、具体的にどんな「思想」だったのか。そこで注目された功績は、キリスト教とプラトン哲学の融和を試みた事です。当時のヨーロッパでは「スコラ哲学」を通して「万学の祖」を称されたアリストテレスは知られていたものの、プラトンについては殆ど知られていませんでした。ですが、1430年代に行われたフィレンツェ公会議またはキリスト教の公会議を機に、東ローマ帝国の学者達からプラトンを初めとするギリシア文献が伝わる様になり、フィチーノも多くのギリシア文献に触れて、それを翻訳して出版したのです。
 ここまでは前の記事にも書きましたが、こうして新しい思想に触れたフィチーノが唱えた「人間観」が、「人間の魂は肉体に捕らえられており、人間の肉体と五感などの魂の一部は動物と共通しているが、理性と知性を持つ点で動物と異なる」という内容になっており、独自の「人間の定義」を提示したのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください