哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

マルシリオ・フィチーノについて その1

 本日から紹介する哲学者はイタリア・ルネサンス期の人文主義者、哲学者、神学者のマルシリオ・フィチーノです。1433年頃に当時の権力者として名を馳せたメディチ家の侍医の子として生まれて、最初は医者の教育を受けていました。しかし、ラテン語・ギリシア語を学び、フィレンツェをメディチ家の支配下に置いた事で有名なコジモ・デ・メディチに才能を見出され、フィレンツェ郊外のカレッジに別荘を与えられ、医学と共に哲学を学びました。そして、彼の意向によってヘルメスやプラトンの文章を翻訳しました。中世ヨーロッパではスコラ学の中でアリストテレスは知られていましたが、プラトンについては殆ど知られていなかったのです。
 そんな中で、フィレンツェ公会議等をきっかけに東ローマ帝国の学者等を通してプラトンなど多くのギリシア語文献が伝わったのです。そして、プラトンの思想に心酔していたコジモの援助を受けてプラトンの翻訳を手掛けたフィチーノによって翻訳された「プラトン全集」は、ルネサンス期の「新プラトン主義」を盛り上げる元になったのです。

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