哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アンセルムスについて その3

 修道士になり、やがて修道院長になったアンセルムスですが、この話は続きと言いますか、当時の修道院、もっと言えば当時のイングランドにおける聖職者の特権等により、彼は長きに渡って国王達との戦いに巻き込まれていきます。全てを書くと哲学ではなく、キリスト教の歴史になるので割愛しますが、アンセルムスは温厚な性格とゆるぎない信仰精神においてカンタベリー大司教の座を引き受けたり、イングランド王と険悪な関係になったり、それから更に紆余曲折がありながら、アンセルムスは受肉に関する論文「神はなぜ人間になられたか」を書き上げました。
 晩年は大司教の仕事に尽力して世を去った後も「学識に優れた聖人」に贈られるという「教会博士」の称号を与えられたのです。そんな彼の思想、スコラ学の父と呼ばれるに相応しい所は、すでに初めて書いた「モノロギオン」に記されていたそうです。この「モノロギオン」とは「独白」を意味する言葉で、この論文では「神の存在」と「特性」を「理性」で掴もうとしていたのです。

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