哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アンセルムスについて その2

 さて、前回の記事で家を出てから、念願が叶って修道士になったアンセルムスですが、彼は修道院に入ってから才能を開花させて修道院長になったのです。そして、彼は15年にわたって、その座にあり続け、彼自身は積極的に推し進めたわけではありませんが、彼のいた修道院は欧州の中で有名な神学の場となったのです。「スコラ哲学の父」または「スコラ哲学の」始祖」と称されるアンセルムスは、初めて理性的に学術的に「神」を把握しようとした、と前回の記事で紹介しましたが、それが分かるのが彼の主な著書の一つであり、最初の護教論文「モノロギオン」です、この著書の中で彼は優れた信仰と理性の関係について考察を残しています。もう一つが「プロスロギオン」と呼ばれ、やがて11世紀以降に主に西方教会のキリスト教神学者、哲学者などの学者達によって確立された学問のスタイルが「スコラ哲学」になるのです。
 彼が残したとされる作品は他にもあり、モノロギオンと同じ時期に書かれたのが問答作品「真理について」、「選択の自由について」、そして「悪魔の堕落について」とされています。

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