哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アンセルムスについて その1

 今回から紹介するのは、中世ヨーロッパの神学者で哲学者であり、晩年から亡くなるまでカンタベリー大司教の座にあったカトリック教会の聖人でもあるアンセルムスです。彼は初めて理性的、学術的に「神」という存在を把握しようと努力した人物で、一般的に彼を始めとして興った中世の学術形態が「スコラ哲学」であり、故に「スコラ学の父」と呼ばれています。彼が生まれたのは神聖ローマ帝国の治めていたブルグンド王国、北イタリアの都市アオスタで現在のフランスとスイス両国の国境に接しています。両親ともに貴族で、その家庭に生まれたアンセルムスは、高潔な母親に憧れ聖職者になろうしますが、父親は政治家になる道を強いてきました。
 15歳になった時に修道院に入る事を望みましたが、当然、父親の了承を得ることは出来ませんでした。この際に失望のあまり、彼は精神的な病を患ったとされています。そこから回復して、自分を理解してくれた母親が世を去ったのをきっかけにアンセルムスは家を出て、故郷とフランスを歩いて回りました。そして、高名な修道院の副院長の話を聞き、ノルマンディーへ向かい、同じ修道院で修道士として生きる事を決意しました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください