哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

オッカムのウィリアムについて その4

 さて、オッカムの代名詞ともいえる「オッカムの剃刀」は、難しい言い方をすると「普遍の有無」やあらゆるものの「真の概念」等が実在するか、という論争における「類の概念」は実在しないという主張する派の哲学者たちの格言の事だと書きました。そして、シンプルに説明すると、ある物事を説明する為に、必要以上に多くを仮定するべきではない、という指針だとも書きました。この方法論は「思考節約の法則」や「ケチの法則」とも呼ばれており、文章の中にある正しい思考を妨げるであろう無駄な部分を「ひげ」に例え、それを剃り落とすべきだと考えたものです。
 もともとは、空虚な言葉や概念を定立させ、それに対応する存在を必要以上に考えだした実念論者たちの態度をオッカムが批判して、しばしば用いられた原理なのです。思考節約として多くの注目を集め、心理学の分野では「モーガンの公準」が知られており、統計学でも似た様な表現が使われる「オッカムの剃刀」ですが、実は使う上では三つほど気を付ける点があるのです。

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