哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

オッカムのウィリアムについて その3

 既存の哲学に対して新しい扱い方をしたが故にオッカムは異端審問にかけられ、破門を宣告されました。そんなオッカムは法王と対峙していた神聖ローマ帝国皇帝ルートヴィヒ4世の保護を受けてミュンヘンへ逃亡しました。そこで幾つかの政治論を書き残したのですが、最後は当時、黒死病と呼ばれ、発症すると高確率で死に至る伝染病「ペスト」に感染し、この世を去りました。ですが、彼の提唱した哲学は当時から人々に影響や印象を与え、今日まで残されてきました。
 そんなオッカムの名前が付いた「オッカムの剃刀」とは、スコラ哲学で見られる「普遍の有無」やあらゆるものの「真の概念」として、あらゆるものにそのものの持つ性質を与える「形相的」に実在するかどうか、という議論、所謂「普遍論争」の際に、「類の概念」は実在しないと主張する「唯名論」派の哲学者たちの格言の事です。この考え方は「存在は必要もなく増加してはならない」という意味を持った「実在論的」またな「実念論」な考え方だったのです。もっと単純に紹介すると、ある物事を説明する為には、必要以上に多くの仮定するべきではない、という指針です。

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