哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

オッカムのウィリアムについて その2

 オッカム村のウィリアムこと、通例オッカムですが、もう少し掘り下げると彼は14世紀の思想家に多くの影響を与えたイギリスのスコラ哲学者で、オッカム村はロンドンに近いサリー伯爵領の近くでした。そして、若くしてカトリック教会の修道会「フランシスコ会」の会員となります。そして、オックスフォード大学で神学の研究を始めますが、カトリック教会の司教でスコラ神学者のペトルス・ロンバルドゥスが書いた神学の規範的教科書である「ロンバルドゥスの命題集」を批判的に考察した講義を行ったことで、彼の斬新な思考は神学研究者たちに強い印象を残したのです。
 しかし、それまでの哲学や神学の問題の扱い方が新し過ぎた為に、前回の記事で書いた様に激しい反論を呼んで、結果としてオッカムは4年間異端審問にかけられ、ローマ教皇のヨハネス22世と対立、教皇はオッカムの学説を「異端」として破門を宣告したのです。因みに、オッカムの前に紹介して、オッカムに反論した学長が思想を継承したトマス・アクィナスの「神学大全」は、ペトルスを特別に「教師」と呼んでいたそうです。

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