哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

トマス・アクィナスについて その4

 残された記録によると、アクィナスは人に強い印象を与えた人物だったそうです。人柄がよく、記憶力もよく、研究に没頭すると非常に集中して、そこから語られる論理は分かりやすくて正確だったそうです。更に、神学部教授やドミニコ会の総会に出席するなど当時のキリスト教に深く関わった彼は、同じ様な哲学者達と同じく「Doctor Angelicus(神の使いのような博士)」と呼ばれたそうです。そして、1319年に聖人に相応しいかの列聖調査が行われ、1323年にアヴィニョンの教皇ヨハネ22世によって列聖が宣言され、正式に聖人に挙げられたそうです。
 そんなアクィナスは教授として教鞭をとりながら、新約聖書、アリストテレス哲学に関する解釈や進学に関する見解を書いた「神学大全」を執筆していたのですが、この本は後に弟子たちが完成させるまで未完のままでした。その理由は、執筆中に行われたミサの最中、神秘的な体験をしたアクィナスが、その後一切の執筆活動を辞めてしまったからだそうです。

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