哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

デモクリトスについて その2

 さて、哲学者であり「原子論の祖」と呼ばれたデモクリトスは、アトムを万物における究極の構成単位であると規定して、アルケーを求める問いに解答を出した人物として哲学史に名を残しています。彼は自らの倫理学で日常のしがらみや超常現象の恐怖から解放された魂の安らかさを説いて、原子の動きについて「生まれる事も滅びることもない無数の原子と、その原子が運動する場所としての空虚が存在し、空虚の中を原子が様々に運動し結合することで物の世界が出来上がる」と論じたのです。
 それまで「無いものは無い」という考えが主流であった哲学的思想の中において、デモクリトスが語った「在らざる物は在る物に劣らず存在する」という言葉は、この「空虚」と呼ばれる存在を積極的に説いたものとして非常に有名な言葉です。デモクリトスは個々の物体の違いを、それを構成するアトムの形、大きさ並び方などの違いによる影響であると主張したのです。こうした物の存在定義は古代から繰り返された哲学の命題でもあるのです。

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