哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アナクシマンドロスについて その3

 今回で最後となるアナクシマンドロスは、万物を説明できる「無限定の何か」があると考え、更に「万物は無限から生まれ、無限に還る」と定義して、タレスの「万物は水に還る」という考えを内包する形をとったのです。この様なアナクシマンドロスの哲学は、天文学や生物学の領域を全て含む壮大な理論であり、後の哲学者アリストテレスは「無限というアルケーは無限に動く、すなわち永遠の働きは不死であり不滅、という特徴を持つ点において、神的な性格を見ることができる」と述べたそうです。
 このアナクシマンドロスの「無限定なもの」は、自然世界を「秩序づけられ調和のとれた全体」として考えるギリシアの自然観によって構成されたもので、後に弟子になったというアナクシメネスは「量的・空間的無限性」を継承しますが、「無限定なもの」という抽象的な概念を否定して、感覚的に経験できる「空気」という具体化した形で「万物の根源」を示していくことになるのです。こうして、哲学は更に発展していったのです。

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