哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アナクシメネスについて その3

 今回の記事で最後となりますが、謎多き人物のアナクシメネスが提唱した「万物の根源は空気である」という考えは、それまで定義されていなかった万物の生成に消滅の関係、この説は魂も空気から構成いるとする点では、人間もこの原理に関与していると言えます。空気という質量を持った点において、アナクシメネスの説は「万物は水である」と説いたタレスの哲学に近いように見えますが、空気の持つ不変性や無限性を見た時、アナクシメネスの師であるアナクシマンドロスが提唱した「無限定なもの」を具現化したものであるとも言われており、世界の様々な存在や物事の生成に関係するその後の機械論的な説明の具体化を先取りしていたとも言えます。
 紀元前494年のペルシア軍侵攻によるミレトスの陥落によってイオニア自然学者達の時代は終わりを迎えました、ですが、そうした哲学的な思想は後に「アナクシメネスの哲学」としてイオニアに広がり、後の哲学に大きな影響を与え、数多くの哲学者に受け継がれていったのです。

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