哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

メリッソスについて その3

 今回で最後となるメリッソスですが、彼の思想、主張は前回の記事で紹介しました。それによって彼は空虚を否定することによって、ものが動くための隙間や凹みを考えることを許されないと考えたのです。この主張によって一般の運動が否定され、次回から紹介するミレトス三大哲人の一人であり、万物の根源は「空気」であると提唱した哲学者アナクシメネス以降のイオニア哲学の原理である濃化、希化の原理を否定したのです。そんなメリッソスが残した、哲学史的に最も注目すべき言葉が残されています、それが「もし存在が多であるならば、その一つ一つは真の存在について規定した以上のような性質を持つべきである」という内容です。
 この言葉によってメリッソスは空虚を否定しましたが、逆にエレア学派の立場からは運動の為に「空虚」という前提を必要とすることが明らかになったのです。これは空虚な空間を「原子」という粒が飛び交うという「古代原子論」が生まれる下地になったそうです。

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