哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ディオゲネスについて その3

 師匠から「徳」に対する思想を受け継いだ哲学者「ディオゲネス」は、その「徳」を人生の目的だと位置付けたのです。そして、幸せを手に入れるためには、人が本来持っている自然的な欲望を簡単で安易な方法で満足させることだと説いたのです。ディオゲネスは自然的な欲望は醜いことではなく、堂々と満足させて差し支えない、むしろそうすべきだと主張したのです。この事から、自然的な欲求を満足させる事を恥ずべきとする社会の風習や文明を痛烈に批判したそうです。それらの主張は、ディオゲネス自身の実生活の目標となって、身体をできるだけ少ない欲望を持つように訓練する「アスケシス」、自足「アウタルケイア」、無恥「アナイデイア」の三つを行っていくことになるのです。
 この実践のうち、特に最後の「無恥」による犬のような生活習慣から犬儒学派、キニク学派が誕生したのです。この事から逸話に残っている「犬の様な生活」とは、目標に辿り着くための三つの訓練の一つだった事がわかります。

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