哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アルケシラオスについて その3

 アルケシラオスはアカデメイアに採用したエポケーを説いた哲学者ピュロンと同じく著作はなく、その思想は後の哲学者マルクス・トゥッリウス・キケロやセクストス・エンペイリコスらの著作で推測することができます。特にキケロの「弁論家について」では、アルケシラオスは「プラトンの数多くの書物やソクラテスの対話篇から、確実なことは何も、また感覚でも精神によっても知覚することはできないということを、特に引き出した」と書かれており、この事からアルケシラオスの立場としてはピュロンよりプラトンやソクラテス対話篇に由来していると伺えます。
 また、ピュロンが唱えた「事物の存在に関わるあらゆる判断の保留」、エポケー説を採用したことを前回の記事でも書きましたが、この方法自体はピュロンとは異なるものだったそうで、それ故に実践的な論理問題を重視することはなかったそうです。少し似ている部分があっても、やはり違う人間なので、全く同じ思想になる事はないのでしょう。

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