哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ピュロンについて その6

 今回で最後となるピュロンですが、彼の「懐疑主義」とは基本的な原理や認識に対して、本当に普遍なのか、客観性なのかを考えて根拠のない独断を排除しようという主義でした。そして、ピュロンの著作は現在せず、この思想はピュロン主義者である「ピュロン主義哲学の概要」で知る事しかできず、後世まで語り継がれる哲学者としては珍しい人物だといえるでしょう、ピュロンの主張によれば、物事の真偽を判断することは不可能であり、人間は全ての判断に対して決めることを保留、中止する「エポケー」をしなくてはならないと主張しました。
 そんなピュロンに関して、こんな逸話が残されています。それは彼が「懐疑論」に束縛されるあまり、目隠しをしながら弟子たちに懐疑主義について説明している時、目の前に崖があるのに気付かず、彼の弟子が注意をしても彼は注意をも懐疑して、遂には崖から落ちて命を落としたというのです。この逸話も真実か疑わしいそうですが、古代懐疑主義の創始者らしい逸話とも言えます。

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