哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ピュロンについて その5

 さて、今回はピュロンによって生まれた「懐疑主義」について少し掘り下げていきます。一般的に「懐疑主義」とは現在は基本的な原理、認識に対して、普遍性や客観性を吟味して根拠のない様々な独断を排除しようという主義、また「懐疑論」とも呼ばれています。この逆が絶対的な明確な証明性を持つとされる基本的原理を根底に、そこから世界の構造を解き明かしていこうとする独断主義、また「独断論」と言います。
 古代から近世にかけて懐疑主義や懐疑論は、真の認識をもちえない、または無神論へ繋がる思想をして議論に上がることが多かったですが、これは結果として普遍性や客観性の新たな原理や認識がなかった場合、判断が出来ず、伝統的な思想が持つ神の存在も疑う事になった為です。ですが、近代以降は人々の宗教観にも変化があり、自然科学の発展につながる思想的エネルギー源になったこともあり、肯定的な意見が多くなりました。ですが、ピュロンは懐疑主義を信じるあまり、不運な最後を遂げたのです。

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