哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ピュロンについて その4

 前回の記事では、ピュロンがエピクロスの思想に共感して、また違う主張をするストア派に対して否定という形で忠告した事を紹介しました。そんなピュロンが唱えた「不可知論」ですが、これは現代の哲学用語が持つ意味としては現象を超えること、今の人々の感覚にあらわれる内容を超えること、知る事はできないという拒否するような立場に当てはまるのです。そして、このブログで紹介したカントより後の世代になると、物自体が不可知だという考えも「不可知論」である、と考えられています。
 本質的な存在について認識は不可能として、その主張に辿り着く懐疑論、実証主義など様々なタイプがあります。ピュロンは自分たちの感覚は真実を伝えず、嘘もつかない故に何も知ることはない、という知識の不可能を主張しました。これは思想的に最も古く、強い主張でもあります。それを軸に生まれたのが「懐疑主義」であり、ピュロンを束縛した哲学でもあります、次回は「懐疑主義」について、もう少し掘り下げていきます。

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