哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ピュロンについて その2

 前回から紹介しているピュロンですが、今回は彼が唱えた「不可知論」を少し掘り下げていきます。ただし、ピュロンは自分で著作を残していないので、思想については西暦2世紀から3世紀頃の哲学者セクストス・エンペイリコスが残した「ピュロン主義哲学の概要」や「数学者に対して」の中で扱われ、それが完全は言えないまでも、現在まで思想を伝えているそうです。
 そもそも、この「不可知論」とは物事の「本性」は知ることができない、という主張なのです。どんなに明白に言いきることが出来る事でも、同じ理由を付ければ逆の主張も出来る。そう考えれば知性的に一旦は思考を止めなければならない、また弟子のティモンが残したという言葉では如何なる断定も異なった断定に比べてより良い、ということはない、と言えるだろう。
 また、この結論は全ての命に当てはまる上にピュロンは「すなわち、何事も知る事が出来ない故に唯一程よく当てはまる態度は苦悩からの解放、アタラクシアである」と結論付けたのです。

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