哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

ピュロンについて その1

 さて、今年最初に紹介する哲学者は紀元前360年頃から紀元前270年頃に古代ギリシャ、、現在のイリア県に当たるエリス出身の哲学者ピュロンです。そして、古代の最初の「懐疑論者」として有名で、紀元前1世紀頃に創始された「懐疑派」と言われる「古代懐疑主義」、もしくは「ピュロ二ズム」の創始者です。これは全8巻からなる「ピュロン語録」を残した弟子のアイネシデモスによって知られています。彼はアレクサンドロス大王の東征に随行して、インドやペルシアの思想にも触れたと伝えられています。
 また、前回まで紹介したエピクロスの思想を受け継いだ「エピクロス派」と以前に紹介した「ストア派」が激しい論争を繰り広げている中で、ピュロンはどんな判断も控えて心の平静を保つ「不可知論」という思想を貫きました。遠征から戻ってきた彼は慎ましやかな生活を送り、それが地元で尊敬を集め、アテネの人々から市民権を授与されたそうです。そして、彼の思想は弟子のティモン達に継承されていったのです。

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