哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

エピクロスについて その13

 十月中旬となる本日も、引き続きエピクロスの哲学について、です。前回は欲望を選ぶ際の基準を取り上げました、ですが、エピクロスは「快楽」には限界があると主張します。まず、肉体の快楽に関しては、岩波書店から出版された「エピクロス 教説と手紙」の「主要教説」には、こんな言葉があります。
 「快の大きさの限界は、苦しみが全く除き去られることである」
 これはブログで何度か紹介した「乱されない心身を得る」の「身体の健康」に繋がります、更に肉体の快楽が乏しくなる苦痛がなくなれば、それ以上に増えることなく、後は多様化するだけだと主張しています。そして、精神の快楽においても上限があるとエピクロスは説いています。その上限は、精神に最も恐怖を与えてきた事柄や、これに類する事について深く考える事で生み出されるという主張です。この「最も恐怖を与えてきた事柄」は「命の終わり」で、「類する事」は空や大地の異変にだそうですが、これに関しては長くなるので次回の記事で紹介します。

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