哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

エピクロスについて その9

 前回の記事でエピクロスの唱える「必要な欲望」の一例で食事を取り上げました、その他にも人が幸せになる為に必要な欲望として他の人への愛情だったり、友情、名誉心に裕福な暮らしの所有などが考えられます。ですが、こうした欲望は一歩間違えると不幸へ落ちる可能性もあるのです、だからエピクロスは欲望に対して「よく考えておくべきこと」と言っています。よく考える、その必要性の理由をエピクロスは「メノイケウス宛の手紙」で「これらの欲望について迷うことのない考察こそが、全ての選択と忌避、つまり嫌って避ける事を、身体と心の平静に関連づける事を可能にするからである」という内容で明らかにしています。
 また、この後に身体の健康と心の平静こそ、至福なる生の目的だとも手紙で述べています。この目的が達成できるように人は全力を尽くして、こうした状態になれば心は穏やかになり、何かが足りないと探し回る必要もなくなる、その為に選ばれた欲望はわれわれをそこへ誘うと主張したのです。

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