哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

エピクロスについて その6

 「人間の魂」に関心を向け、その中心を「快楽」だと説いたエピクロスですが、一般的に哲学のイメージには合わない内容です。「哲学」と聞いて連想されるのはカントが追求した「理性」や様々な「現象」だったり、他にも「原理」や「論理」に「認識」など、日常の経験や思考からは少し離れた事柄が多いです。「快楽」という誰でも何かしら思い浮かぶ事は身近すぎて「非哲学的」とも言えるでしょう。また、エピクロス以前にソクラテスやプラトンが「快楽」について論じていますが、こちらは清く正しい人格を持つ為に抑制しなければならない対象としています。
 また、ソクラテスの弟子アリスティッポスも「快楽主義」を唱えていますが、こちらは肉体的な「快楽」を重視しています。ですが、エピクロスの「快楽の哲学」は違います、彼の哲学の出発点は「欲望」や「欲求」に「願望」の吟味です。例えば、もっと富を増やしたい、もっと美味しいものが食べたい、病気を治したい。エピクロスの哲学では、こうした「欲望」の先にあるのが「快楽」だと言うのです。

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