哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

エピクロスについて その3

 さて、前回はエピクロスの人生を大まかに紹介しましたが、今回から彼の「哲学」について紹介していきます。彼は「快楽が最高の善であり、それこそが人生の目的である」という「快楽主義」と説きました。ですが、これは自分が気持ちいいと感じる事や快感をひたすらに追い求める事を説いたのではありません。彼が説いた「快楽主義」とは、飢えや渇きなどの最小限の痛みを取り除き、不安から解放されることで心の平穏「アタラクシア」の境地を楽しむ、という事をテーマとした精神的な教えなのです。
 実際にエピクロスも前の記事で紹介した「エピクロスの庭」と呼ばれる学園を開いたのも、心を乱されないために世俗に溢れる欲を避けて、無用な関りを断つのを最善として、自ら「隠れて生きる」という事を実践したのです。俗世と離れて、自給自足の生活を送った彼は、そのおかげか病に冒されて亡くなる間際まで、平常心を保ったまま教えを説いたそうです。この哲学としての「快楽」については、次回の記事から紹介します。

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