哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

イマヌエル・カントについて その14

 前回に引き続き、理性に残された仕事は何か、を説明します。カントは第三アンチノミーを解決すれば自由の確保が出来ると考えました、この続きは、これから書く事です。人間の「理性」の営みは数学、物理、論理学など様々な領域があり、これらは互いに他の学問とは無関係にも成り立っており、厳密化されて、それなりに成果を納めるでしょう。「理性」とはそれらの多くの営みの垣根を超えて、それらを理念によってまとめて、更に高い目的に向けて分かりやすくするのです。
 これでトラブルの原因であった理念は新しい役割を担うのです、これに因んでカントは個別的な学問の領域だけに関わる専門家を「理性の職人」と呼んでいます。それに対して、先に紹介した様に理性を行使する人を「理性の立法者」と定めて、それを「哲学者」と呼びましょう。この様な意味による哲学者は、人間の本質的な目的、更に人間の使命としての究極の目的、つまり「道徳」に関わる学問なのです。突き詰めると理念とは「実現すべし」という命令込みで、初めて「理性」と言えるのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください