哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

イマヌエル・カントについて その12

 さて、前回の記事で最後に「理性もトラブルを起こす」と書きましたが、ここでカントは思い悩む「理性」の主張を別々の主体ではなく同一の理性であり、それぞれがペアを組んでいるという考えです。これが理性の「二枚舌」であり、これを「アンチノミー」と言い、四つのペアを組んでいます。
 第一は世界は「有限」である、そうではなく「無限」である。、第二は世界を構成する単純な「要素」があるかないか、第三は第一原因としての自由があるか、自由はなくて全てが「因果法則」に代表される自然必然の法則で起こるのか、第四は世界には絶対的必然的存在者がいる、そんな存在はいない。
 この四つの中で第一と第二の「アンチノミー」は相反する主張なので成立しません、第三と第四の主張は二つとも全面的でなく違った領域に分けることで成立します。この様なアンチノミー問題はカントが提唱した「純粋性理性」を「一つの法廷」で対立させます。そうして、どちらにも傾かない公平中立の態度を登場させる事で「純粋性理性」を貫く哲学的精神が生まれるのです。

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