哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アルトゥル・ショーペンハウアーについて その3

 今回で三度目となるショーペンハウアーですが、彼の代表的な著書「意志と表象としての世界」は四部構成となっております。そこで彼は「世界はわたしの表象であるという」と記しているそうです。これは「いかなる客観でも、自分で見る主観という制約を受けている」という事を示しています。彼が広めようとした教えの一つに「盲目的な生存意志」があり、彼は「すべての存在は生存に対する盲目的意志の表れである」と定義しました。
 そんな盲目が扱われているのが、先に書いた著書の第二部です。そして、第三部で「芸術に沈潜した人は意志なき、苦痛なき喜びを少なくとも一時的には得るであろう」と、彼は「芸術」を苦悩を脱する為の一つの手段と残しているそうです。これがショーペンハウアーが芸術家の間では名の知れた哲学者になった要因でしょう。そして、彼の「生への意志を否定することによってのみ、苦悩から脱せられる」という考えは、政治や宗教に大して希望を失っていた当時のドイツ民衆に広く支持を得ました。そして、ニーチェやフロイトは「力への意志」として受け継ぎ、現在まで広く展開されました。

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