哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

トマス・ホッブズについて その2

 前回から紹介しているトマス・ホッブズですが、今回は彼の有名な著作「リヴァイアサン」に書かれた有名な言葉を紹介します。それが「万人による万人のための闘争」です、ホッブズは人間は誰でも自分の生命と幸福を維持しようとする、つまり自分を保ちたいという要求を否定せず、むしろ人間ならば誰でも持っていると考えていました。ですが、人間の持つ感性の中には「他人より優れたい」という欲望があります。この為に他の人が優遇されると怒りを感じるようになり、人々の間で「優越感の闘争」が起こるのです。
 これが無制限になると戦争状態になるのです、そんな欲求をホッブズは「自然」だとしています。こんな社会の中で「平和の維持」と「安全の保障」を得るには国に権力を譲渡して、国と「社会的な契約」を結ぶ事だと主張しました。こうした考えは著書の「リヴァイアサン」というタイトルにも表れており、人が国家に権力を譲渡した時に国が聖書にも登場する巨大な怪物になると言っています。「人間は人間に対して狼」という言葉も自己主義的なホッブズの人間観を表す言葉です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください