哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

アウグスティヌスについて その2

 前回の記事で司祭にもなった哲学者アウグスティヌスを紹介しましたが、彼の説いた哲学的な思想はキリスト教に深く結びつけた内容です。彼の思想では新プラトン主義の悪は存在せず、善が不完全なだけであるという考えから神は絶対的善であり、人は善に欠いているという説を唱えました。なので、人は元から罪に陥りやすく、これを克服しなければならないとしています。そんな彼は後に「神の国」という著書を残しています。
 全22巻構成で前半10巻で地の国、後半12巻で神の国を論じています。その中で彼は罪深い人間にも神は「無償の愛」という恩寵を与えるとしています。そして、原罪を背負う人間が救われるのは、この恩寵だけであるとしています。これは彼がキリスト教の三元徳である「信仰」と「希望」と「愛」の中でも特に「愛」に影響を受けた為とされています。物体が重力に引きつけられる様に愛は人を動かすものであり、やがて神にひかれるのだと説いています。ここだけ抜粋すると「告白」の赤裸々な内容とは随分と印象が変わります。

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