哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

エレア派のゼノンについて その4

 前回から紹介している「エレア派のゼノン」が提唱した「パラドックス」、正確には「運動のパラドックス」に関してアリストテレスが取り上げた四つの内の二つは書きました。本日は残り二つを掲載します。まず最初は「二分法」です。これは最初の地点、仮にAポイントと名付けて、次の地点、こちらはBポイントに移動する際に半分ほどの地点、B1ポイントを通過しなくてはならず、そのB1に着くには更に半分ほどの地点、B2ポイントに到着する必要があります。こう考えると通過するポントは無限に生まれる為に目的のBポイントには着けない。
 次が「競技場」です。これは、ある競技場で二台の馬車を観測した際に客席から馬車が前後に一つずつズレた位置に動く。すると馬車は互いに一つずつズレただけなのに、お互いの観測すると二つずつ動いた事になります。互いに一つずつ動きたいなら、一瞬で二つずつ動く必要があるが、一瞬では一つずつしか動けない。よって、馬車の移動は不可能である。こうした考えにより、彼自身は知らなくとも「パラドックス」という言葉を耳にした人は居る筈です。そんな彼と同じ名前の哲学者を次回は紹介します。

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