哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

カール・ハインリヒ・マルクスについて その5

 本日で最後となるマルクスですが、彼の提唱した社会観、歴史観は「唯物史観」と呼ばれています、さらにマルクスは労働の分業化を押し進めていた資本主義を批判し、人間の「物象化」や「疎外」といった概念を打ち出して「資本論」にまとめて発表したのです。マルクスの思想が経済にも大きな影響を及ぼしたのは、彼が労働者と賃金の関係性、そして労働者が生産した商品との関係を考慮し、なぜ貧困が発生するかを説いた点もあるでしょう。それ以前の「哲学」と言えば、世界を構成する要素や精神論的な主張が多かったのもあるでしょうが、マルクスは自身が実際に苦しい生活を体験したことで、哲学と経済が切っても切れない関係にある、と考えたのでしょう。
 そんなマルクスの思想は、彼が世を去った後、19世紀終わりから20世紀初めてかけて、世界中に出来た社会主義の政党に支持されました。なぜなら、マルクスの思想、「マルクス主義」は階級をなくし、経済的、社会的な不平等をなくそうとする考えにピッタリだったからです。ですが、やはり社会の在り方が変われば経済も変わるので、マルクスは思想の創設者となりましたが、その思想が必ず現代でも通用する、とは限らないのです。ですが、彼の思想が今の哲学と経済学に与えた影響が大きい事は変わりありません。

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