哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

カール・ハインリヒ・マルクスについて その4

 マルクスが哲学者としての立場を確立したのが「唯物弁証法」です、これはフォイエルバッハの「唯物論」を土台として、そこにヘーゲルの弁証法的な考えを取り入れることによって打ち出した考え方です。そもそも、「唯物論」とは、観念、または精神の根底には物質があるという考えであり、その対義として「観念論」があるのです。マルクスは、唯物弁証法として「世界の本質は、自ら運動、変化し発展する物質であり、その運動の原動力は万物が内在的に持っている“対立”である」と説いたのです。そして、自身の著書「経済学批判」の中で「人間の意識がその存在を規定するのではなく、人間の社会的存在がその意識を規定する」という言葉を残しているそうです。
 これは、人間の物質的な生産活動(下部構造)を根底にして、思想や言論、法や政治、道徳、宗教などの意識形態(上部構造)が定義されるということなのです。また、封建制度においては領主と農奴、資本主義では資本家と労働者という生産過程における人々の社会的関係という生産関係の根本的な変革が“革命”であり、これによって社会制度や精神的文化も変化していくとマルクスは提唱しているのです。

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