哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

カール・ハインリヒ・マルクスについて その3

 さて、国籍を捨て、親友と妻の助けを得てマルクスが辿り着いたの思想が「科学的社会主義」、または「マルクス主義」なのは前回の記事で書きました。そんなマルクスの経済や資本に関する著書は生前に出版されたものもあれば、彼が世を去った後に出版されたものもあります、最初は親友であり同じく思想家だったエンゲルスとの共著もあったそうですが、彼の代表的な著作であり、名作とも名高い「資本論」の先駆けとなった哲学書があります。それが「哲学の貧困」です、これは日本語に訳されたタイトルで、発表されたのは1847年頃に亡命先だったベルギーです。発表された目的は、ある著書に反論するためで、マルクスの著書の中で唯一、フランス語で執筆された政治経済学の哲学書だそうです。
 全2章、8項目と補足2つ、合わせて10項目で構成され、本書の第1章の翻訳には「科学的発見」というタイトルが付けられているそうです。内容に関しては、マルクスが意識した著作への反論は当然ですが、他にも貧困が生まれる要因や生産関係に関する考察、現実の労働者が行っている権利の主張について等が載っているらしく、自身の「思想」の基本的な考え方が既にできていた事が伺えます。

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