哲学カフェ

哲学書を一つづつ取り上げて、それを時に独善的とも思われる解釈を試みながら、一見難しいものと思われる哲学書の解読を行うものです。

カール・ハインリヒ・マルクスについて その2

 幼少期から青年期にかけて当時の気風から政府が行う弾圧を見てきたマルクスですが、彼が国籍を捨てて亡命することになったのは大学を卒業した後です。ボン大学からベルリン大学へ学ぶ場所を移した際、ヘーゲルの哲学と国家学に興味を持ったマルクスは、大学を卒業した後はライン新聞の編集者となりました。そこで、政府の抑圧や、貧困に苦しむ農民や労働者の姿に接することで、徐々にライン新聞で当時のドイツの社会的現実に対して批判的な意見を強めていったのです。それが原因でライン新聞は発禁処分となり、マルクスはプロイセン国籍から離脱して、パリやロンドンへ亡命する事になります。これ以降、彼は国籍を得る事はなく、生涯の大半を亡命者として過ごしたのです。
 そして、拠点をイギリスに移したマルクスですが、国籍がないので定職につくことができず、非常に苦しい生活を送ったそうです。ですが、フリードリヒ・エンゲルス氏という親友や妻に支えられ、彼は経済学を中心とした労働・革命運動に尽力していきました。そして、自身の思想である「科学的社会主義(マルクス主義)」を提唱し、この思想は20世紀以降の国際政治や思想にも大きな影響を与えました。

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